あるオイルパステルの本には、オイルパステルに含まれるオイルには酸が含まれており長い間には紙を酸化してしまうので、それを防ぐためにジェッソで下地を作るよう書いてあります (“Oil Pastel, Materials &Techniques for Today’s Artist” by Ken Leslie. (2015). p49-51.)。しかしそれだけの手間をかけるとオイルパステルの手軽さがなくなります。
ところが、『クレパス画事典』株式会社サクラクレパス出版部(2005年)によれば、クレパスの液体油は石油系の油である流動パラフィンであり、品質面で安定した物質だと書いてあります(p99〜102)。パラフィンについてはウィキペディアでも化学的に安定していると書いてあります。
したがって、少なくともクレパスの液体油は酸を含みません。クレパスは1951年以前は椰子油を使っていたそうで(前掲書)、椰子油にはラウリン酸が含まれるため、冒頭に掲げた書籍の著者が言う「オイルに含まれる酸」というのは、現在は使われていない椰子油中のラウリン酸のことかと推測します。
なお、”Beginner’s Guide to Painting with Oil Pastels”by Tim Fisher (2019). p9には、現代のオイルパステルはacid-free でどのような基底材にも理想的だと書いてあります。
また、”Oil Pastel for the Serious Beginner” by John & Sheila Elliot (2014). p11 にもacid-free oil と書いてあります。